EC運営で避けられないロスとの付き合い方|防げるものと防げないものの見極め

EC運営を続けていると、どうしても発生するロスがあります。持ち戻り、誤発送、価格競争、仕入れの失敗。

これらをすべてゼロにしようとすると、かえって非効率になります。重要なのは「仕組みで防げるロス」と「防げないロス」を見極めることだと考えています。

Amazon・楽天市場・メルカリShops・自社ECの4店舗を運営している立場から、実際に発生しているロスと、それぞれへの対応を書きます。

防げないロス1:持ち戻り

日本郵便で発送していますが、持ち戻りは月に一定数発生します。

主な理由は2つです。

  • 宛名不明
  • 保管期間経過

宛名不明は、購入者が入力した住所に不備がある場合。保管期間経過は、不在票が入ったまま受け取られずに期限を迎えた場合です。

対応:配送料を引いて返金

持ち戻った商品については、返金処理を行っています。

Amazonでは、配送料を差し引いて返金することが認められています。実際に配送コストは発生しているため、この扱いは妥当だと考えています。

ただし、正直なところ手間がかかります。商品を受け取り、状態を確認し、返金処理をする。1件あたりの作業時間は短くても、月に一定数となると無視できません。

対策:ありません

これは正直に書きます。持ち戻りを減らす有効な対策は取れていません。

住所の不備については、GoQSystemの住所エラー機能である程度カバーできます。AIが自動判定し、修正案を出してくれるため、明らかな不備は出荷前に修正できます。

ただし、それでも防げないケースがあります。

  • 入力された住所は正しいが、実際には転居済み
  • 購入者が不在で受け取れない
  • そもそも受け取る意思がない

これらは出品者側でコントロールできる範囲を超えています。対策しようがないので、発生する前提で運用フローを組んでいます。

防げないロス2:相乗りの価格競争

Amazonで既存カタログに相乗りする場合、避けられないのが価格競争です。

同じ商品を複数の出品者が売っているため、価格が下がっていきます。誰かが下げれば、他も追随する。この構造から逃れることはできません。

対応:一定ラインで降りる

弊社の方針は、一定ラインまで下がったら追随せず降りるというものです。

利益が出ない価格で売り続けても意味がありません。値下げ合戦に最後まで付き合うのではなく、採算ラインを決めて、そこを割ったら手を引く。

在庫が滞留したら判断を変える

ただし、これには例外があります。

降りた結果、在庫が動かなくなることがあります。この状態が続くと、資金が在庫に固定されたままになります。

在庫が滞留し始めたら、さらに価格を下げることもあります。利益率を犠牲にしてでも現金化したほうがよい局面があるためです。

判断基準は「その在庫を持ち続けるコスト」と「値下げによる損失」の比較です。倉庫スペース、資金繰り、商品の劣化リスク。これらを踏まえると、早めに損切りしたほうが総合的に得な場合があります。

防げないロス3:仕入れの失敗

Keepaなどのツールを使って売れる商品を探しても、実際には売れず赤字になることは多々あります。

データ上は売れているように見えても、自分が出品した時点で状況が変わっていることがあります。他の出品者が増える、需要のピークが過ぎている、価格帯が崩れている。

ツールは過去のデータを見せてくれますが、これから売れるかどうかは保証しません。

この失敗をゼロにする方法はないと考えています。判断の精度は経験で上がりますが、外れることは常にあります。だからこそ、1商品への仕入れ額を抑える、複数商品に分散するといったリスク管理が必要になります。

防げるロス:在庫由来のキャンセル

一方、明確に防げるロスもあります。

在庫がないのに「在庫あり」で売れてしまい、キャンセルすることになる。これは仕組みで防げます。

弊社は在庫の一元管理をGoQSystemで行い、在庫の「正」を1か所に集約しています。各モールに表示される在庫数は、そこから配信された値です。

これを怠ると、キャンセルが積み重なってアカウントの健全性に影響します。実際、弊社は10年以上前にパフォーマンス指標の悪化で出品停止を経験しました。詳細はAmazonで出品停止を経験した話|復旧までの1〜2週間と、在庫管理にこだわる理由に書いています。

見極めが重要な理由

なぜ「防げる/防げない」の区別が重要なのか。

労力の配分が変わるからです。

防げないロスに対策を打とうとしても、成果が出ません。持ち戻りを減らそうと購入者に確認の連絡を入れれば、その作業コストのほうが高くつきます。

一方、防げるロスを放置すると、被害が拡大し続けます。在庫連携の不備は、直さない限り毎日キャンセルを生み続けます。

ロスの性質 取るべき対応
仕組みで防げる 仕組みを作る。投資する価値がある
防げない 発生前提でフローを作る。処理を軽くする

防げないロスへの正しい対応

防げないロスに対してやるべきことは、発生を減らすことではなく、処理を軽くすることです。

持ち戻りであれば、返金処理の手順を決めておく。誤発送であれば、返送から再発送までの流れを固めておく。判断に迷わない状態を作れば、発生しても淡々と処理できます。

まとめ

EC運営で発生するロスへの向き合い方を整理します。

  • ロスをゼロにしようとしない。防げないものに労力を割いても成果は出ません
  • 仕組みで防げるものには投資する。在庫の一元管理はその典型です
  • 防げないものは処理を軽くする。手順を決めて迷わない状態にします
  • 価格競争は採算ラインで降りる。ただし在庫の滞留は別の損失を生みます
  • 仕入れの失敗は前提。だからこそ1商品への集中を避けます

完璧を目指すより、どこに労力を割くかを決めるほうが実務的です。防げないものを受け入れることで、防げるものに集中できるようになります。

日々の受注処理の流れについては4店舗分の受注処理をどう回すか|GoQのステータス自動振り分けと人が見る部分で書いています。

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