多店舗EC運営で最初に詰まる3つのポイント|4店舗運営者の実体験

Amazonで販売を始めて、売上が安定してきた。次は楽天市場にも出してみようか——。多店舗展開を考えるとき、多くの人は「同じ商品を別の場所にも並べるだけ」と考えます。私もそうでした。

実際にはまったく違いました。Amazon・楽天市場・メルカリShops・自社EC(EC-CUBE)の4店舗を運営している立場から、拡大の過程で実際に詰まった3つのポイントを書いておきます。これから2店舗目を検討している方の判断材料になれば幸いです。

そもそも、どういう順番で増やしたか

前提として、弊社の拡大順は以下のとおりです。

  1. Amazon(SELECT JAPAN)でスタート
  2. 楽天市場(暮らしの和)を契約
  3. メルカリShops を契約(数は少なめ)
  4. 自社EC(EC-CUBE)

この順番自体は、多くの物販事業者と同じだと思います。Amazonは初期コストが低く、カタログに相乗りできるため立ち上げが速い。売上の見通しが立ってから楽天へ、という流れは合理的です。

問題は、2店舗目を契約した「その後」に何が起きるかを、ほとんど誰も事前に教えてくれないことでした。

詰まったポイント1:在庫が同期しない

最初に直面したのが、これです。

当たり前の話なのですが、Amazonと楽天は別々のシステムです。楽天で1個売れても、Amazonの在庫数は減りません。手元の物理在庫は1個減っているのに、両方の管理画面には「在庫あり」と表示され続けます。

在庫が潤沢なうちは表面化しません。危ないのは残り1〜2個のときです。楽天で最後の1個が売れた直後にAmazonでも注文が入れば、出せない商品を売ったことになります。Amazonではキャンセル率(注文不良率)が指標として管理されており、これが積み重なるとアカウントの健全性に影響します。

最初は手動でやろうとした

正直に書くと、最初は「こまめに手で直せばいい」と考えていました。1日に何度か両方の管理画面を見て、ズレていたら合わせる。商品数が少ないうちは、これで何とかなってしまいます。

ですが、これは商品数と店舗数の掛け算で破綻します。2店舗×数十SKUならまだしも、3店舗、4店舗と増えていくと、確認するだけで1日が終わります。しかも人間がやる以上、必ず漏れます。

Amazon専用ツールでは解決できない

弊社はAmazon運営で長くプライスターを使っています。価格改定と在庫管理の定番ツールで、Amazon単独の運用では非常に優秀です。今も使い続けています。

ただし、プライスターは複数モールの一元管理には対応していません。あくまでAmazonのためのツールです。ここが分岐点でした。

結論として、多店舗展開をするなら在庫の一元管理ツールの導入は必須です。「余裕ができたら入れよう」ではなく、2店舗目を契約する前提が固まった時点で並行して検討すべきものだと考えています。

詰まったポイント2:一元管理ツールを乗り換えると、SKUの紐付けをやり直すことになる

ここが、実際に一番時間を取られた部分です。

先ほど「一元管理ツールが必要になる」と書きましたが、弊社は最初からGoQSystemを使っていたわけではありません。以前はクロスモールという別の一元管理ツールを使っていました。

ツールによって「何を軸に商品を紐付けるか」が違う

ここが盲点でした。一元管理ツールは、複数モールの商品を「これとこれは同じ商品」と認識するための紐付けキーを必要とします。そして、そのキーが何であるかはツールによって違います。

クロスモール時代、弊社は楽天市場側をJANコードで管理していました。楽天の商品管理番号と商品番号の両方にJANコードを入れる運用です。これで問題なく回っていました。

その後、Amazonの「EASY SHIP」に当時のツールが対応していなかったことをきっかけに、GoQSystemへ移行しました。

ここで発覚したのが、GoQはJANではなくSKUを軸に管理するという点です。つまり、楽天側に入っているJANコードのままでは紐付けができません。

結論:後から救えるフィールドはある

先に救いのある話を書いておきます。楽天の商品管理番号を全部作り直す必要はありませんでした。

楽天のSKU設定には「システム連携用SKU番号」(全角48文字)という項目があります。ここにAmazonのSKUを入れることで、商品管理番号がJANのままでもGoQ側と紐付けられます。

現在、弊社の3モールは以下の対応関係になっています。

モール Amazon SKUを入れる項目
Amazon 出品者SKU(これが基準)
楽天市場 システム連携用SKU番号(全角48文字)
メルカリShops 商品管理コード

これから多店舗展開する方が知っておくべきなのは、各モールに「外部システム連携用の識別子を入れる専用フィールド」が用意されているという点です。表向きの商品管理番号とは別に、こうした項目があります。

それでも移行には1〜2ヶ月かかった

フィールドがあるからといって、作業が軽いわけではありません。

実際の移行は、GoQの担当者に協力してもらいながら複数回の打ち合わせを重ね、1〜2ヶ月かかりました。商品数が多いほど、この期間は延びます。

正直なところ、こうした移行はツールのサポートを頼ったほうが確実です。自力で全部やろうとすると、紐付けミスに気づかないまま在庫連携が始まり、実際の販売に影響が出ます。

メルカリShopsは楽天の状態に引きずられる

もう一段、実務上の注意点があります。

GoQでは、メルカリShopsの商品を楽天市場の商品情報から生成します。そのため、楽天側の状態がそのままメルカリShopsに影響します。

3モールでSKUが統一されている必要があるのですが、楽天の商品管理番号がJANのままになっている商品については、メルカリShopsの管理画面で「商品管理コード」を手動で修正しています。ここは今も残っている手作業です。

これから始める人へ

  • SKUの紐付けは後から救える。各モールに連携用のフィールドがあるので、絶望する必要はありません
  • ただし移行コストは確実に発生する。商品数によっては数ヶ月かかります
  • 最初からAmazon SKUで統一しておくのが一番安い。これから登録を始めるなら、5分の意思決定で後の数ヶ月が変わります
  • ツール選定時は「何を軸に紐付けるか」を確認する。JAN軸かSKU軸かで、後の乗り換えコストが変わります

詰まったポイント3:楽天はAmazonの延長線上にない

3つ目が、個人的には最も想定外でした。

「Amazonで売れているのだから、楽天でも同じようにやればいい」と考えていました。実際にはまったく別物です。同じ物販でも、必要な作業がほぼ入れ替わります。

商品登録にかかる時間が違いすぎる

最も差を感じたのが商品登録です。

Amazon 楽天市場
既存商品の登録 カタログに相乗りするだけ。1分程度 相乗りの概念がない
商品画像 カタログのものが使われる 自分で撮影・作成
商品名 カタログのまま 自分で考えて記入
説明文 基本不要 一から作成

Amazonは商品カタログが統一されているため、既に誰かが登録した商品なら相乗りで完結します。JANコードを入れて価格と在庫を設定すれば終わりです。

楽天にはこの仕組みがありません。同じ商品を売っている店が他に何十軒あっても、自分の店のページは自分で作ります。画像を用意し、タイトルを考え、説明文を書く。1商品あたりの作業量が桁で違います。

この差を知らずに「Amazonと同じ数を並べよう」と計画すると、確実に破綻します。楽天出店を検討する際は、商品登録の工数を別枠で見積もってください。

店舗設定の複雑さ

商品を並べる以前に、店舗そのものの設定でつまずきます。RMS(楽天の管理システム)は機能が多く、どこで何を設定するのかを把握するまでに時間がかかります。

特にわかりにくいのが送料設定です。考慮する項目が多く、Amazonの配送設定に慣れているほど混乱します。

受注処理の流れも違う

受注処理も別物です。Amazonの注文管理に慣れた状態で楽天のRMSを触ると、同じことをするのに違う操作が必要で、慣れるまで戸惑います。

ここは一元管理ツールで解決できる部分でもあります。弊社では配送通知をGoQ側で自動化しているため、現在この工程は問題になっていません。ただし導入前は、店舗ごとに管理画面を行き来する必要がありました。

案内メールの量

細かい話ですが、実務上のインパクトが大きいので書いておきます。楽天は運営からの案内メールが頻繁に届きます。イベント告知、施策の案内、規約変更など内容はさまざまです。

その中に対応必須の重要な連絡が混ざるため、単純に無視することもできません。メールの振り分けルールを最初に作っておくことをおすすめします。

まとめ:2店舗目を契約する前に決めておくこと

ここまでの内容を、これから多店舗展開する方向けに整理します。

  • 在庫の一元管理ツールを、2店舗目の契約と同時に検討する。後回しにすると二重販売のリスクを抱えたまま運用することになります
  • ツール選定時は「何を軸に商品を紐付けるか」を確認する。JAN軸かSKU軸かで、後から乗り換えるときのコストが変わります
  • 商品登録を始める前に、SKUをAmazon基準で統一しておく。後から救えるフィールドはありますが、最初から揃っているのが一番安上がりです
  • 楽天出店は「新規事業の立ち上げ」として工数を見積もる。Amazonの作業量から類推すると必ず足りなくなります

逆に言えば、この4つを事前に押さえておけば、多店舗展開の初期でつまずく箇所はかなり減ります。売上が分散するリスクを考えても、販売チャネルを増やすこと自体のメリットは大きいと感じています。

在庫の一元管理を実際にどう運用しているかは、在庫の一元管理はこう回す|GoQで3モールを運用する実務と失敗談で詳しく書いています。

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