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「Amazonと楽天、どっちが手数料が安いですか」
多店舗展開を検討する際に必ず出てくる質問です。ただ、この問いの立て方自体が実務からずれていると感じています。
Amazon・楽天市場・メルカリShops・自社EC(EC-CUBE)を運営している立場から、手数料をどう捉えているかを書きます。料率の比較表ではなく、実際に運営していて何を負担と感じるかという話です。
前提:弊社の売上比率
先に前提を書いておきます。弊社の売上比率は、ざっくりAmazon 9:楽天 1です。
メルカリShopsは始めて間もなく、まだ数点しか売れていません。自社ECはほとんど動いていません。
つまり、実質的にはAmazon中心の事業者による感想として読んでいただくのが正確です。
Amazonの手数料は「高い」と感じない
正直なところ、Amazonの手数料を高いと感じたことはあまりありません。
理由を考えると、構造がシンプルだからだと思います。販売手数料があり、月額の登録料があり、FBAを使うなら配送手数料がある。把握すべき項目が少ないため、利益計算が立てやすい。
金額が絶対的に安いという話ではありません。何にいくらかかっているか分かるので、納得感があるということです。
楽天は「高い」と感じる。ただし理由は料率ではない
一方、楽天は高いと感じます。ただしこれは、単純に料率が高いという意味ではありません。
実は「トータルで見ると両者は同程度」という趣旨の分析をどこかで読んだ記憶があります。出典を明示できないので参考程度の話ですが、感覚としての「高さ」と実際の負担額は必ずしも一致しないのかもしれません。
では、なぜ高いと感じるのか。費用の種類が多く、全体像を把握しにくいからだと考えています。
楽天の費用構造
楽天の公式サイトを見ると、必須の費用だけで以下の項目があります。
- 出店料
- システム利用料
- システムサービス利用料
- R-Messe利用料
- 楽天ペイ(楽天市場決済)利用料
さらに任意のオプション利用料が別にあります。
これらは性質がばらばらです。月額固定のもの、売上に対する料率のもの、決済額に応じて変動するもの。1つの数字で「手数料率は◯%」と言えない構造になっています。
把握できていない費用がある
正直に書きます。弊社は楽天スーパーアフィリエイトの費用を意識したことがありません。
これは、アフィリエイト経由の売上に対してパートナーへ成果報酬が支払われ、さらにその報酬額に応じたシステム利用料が発生する仕組みです。公式サイトにはきちんと記載されています。
知らなかったわけではなく、意識する対象として認識していなかったというのが実態です。項目が多いと、こういう見落としが起きます。
これは弊社の管理の甘さでもありますが、同時に「全体像を把握しにくい構造」の証拠でもあると思っています。
楽天ポイント原資
もう一つ、Amazonにない負担が楽天ポイントの原資です。
楽天会員が商品を購入した際に付与されるポイントは、店舗側が原資を負担します。ポイント経済圏の恩恵で集客できる代わりに、その原資を負担するという構造です。
これ自体は納得できる仕組みですが、「手数料」という言葉から連想しにくい費用であることは確かです。
料率の単純比較には意味がない
ここまでを踏まえた結論です。
「Amazonは◯%、楽天は◯%」という比較には、実務上あまり意味がありません。
理由は3つあります。
1. 固定費が含まれていない
月額の固定費は、売上が小さいほど重くのしかかります。同じ料率でも、月商10万円と月商1,000万円では実質的な負担率がまったく違います。
2. 費用の種類が違う
ポイント原資、決済手数料、システム利用料。名称も算出方法も違うものを足し合わせないと、実際の負担は見えません。
3. 作業コストが入っていない
これが最も見落とされる点です。
楽天は1商品あたりの登録作業がAmazonより明確に重くなります。画像を作り、タイトルを考え、説明文を書く。この作業時間は手数料には表れませんが、確実にコストです。
手数料が1%安くても、作業時間が3倍かかるなら、事業として得とは限りません。
「手数料が高いから自社EC」は成立するか
手数料の話をすると、必ず出てくるのが「モールは手数料が高いから自社ECを持つべき」という主張です。
弊社の実感としては、それは難しいと考えています。
自社EC(EC-CUBE)を持っていますが、正直なところ売上はほとんどありません。手数料がかからないという利点はありますが、集客をすべて自前でやる必要があるためです。
モールが提供しているのは、決済システムや管理画面だけではありません。「そこに行けば商品がある」と消費者が認識している状態そのものが商品です。手数料はその対価だと考えています。
個人的な結論としては、モールでしか売れないというのが現時点での実感です。自社ECを否定するわけではありませんが、モールで売上が立つ前に注力する対象ではありません。
なお、カートサービス自体は以前より手軽になっています。BASE
のように初期費用・月額費用0円で始められるものもあり、「まず作ってみる」ハードルは下がりました。ただし集客の難しさは変わらないため、モールで売上が立ってからの検討をおすすめします。
メルカリShopsについて
正直に書くと、判断できるだけの材料がありません。
始めて間もなく、まだ数点しか売れていない状態です。手数料は他のモールと同程度という認識ですが、実感を語れる段階ではありません。
ある程度の実績が出た時点で、改めて書きたいと考えています。
まとめ:手数料をどう見るか
4店舗を運営してきた立場から、手数料の捉え方について整理します。
- 料率だけを比較しない。固定費・ポイント原資・決済手数料を含めた総額で見る必要があります
- 作業コストを計算に入れる。手数料に表れない負担のほうが大きい場合があります
- 費用項目を全部把握する。楽天のように種類が多い場合、見落としが起きます
- 「手数料が高いから自社EC」は慎重に。集客コストがそれを上回る可能性があります
- 売上規模で判断が変わる。固定費の重みは売上によってまったく違います
楽天市場の料金体系は公式のサービス・料金詳細ページで確認できます。料率や条件は変更される可能性があるため、検討する際は必ず公式の最新情報をご確認ください。
各店舗の位置づけと力の配分については4店舗をどう使い分けるか|主力と補助の役割分担と力の配分で書いています。

