販路は多いほうがいい。多店舗展開を勧める記事では、たいていそう書かれています。
ただ、実際に4つの店舗を運営していると、すべてを同じ熱量で回すことは不可能だと分かります。時間も資金も有限だからです。
Amazon・楽天市場・メルカリShops・自社EC(EC-CUBE)を運営している立場から、それぞれをどう位置づけ、どこに力を配分しているかを書きます。これから販路を増やす方の判断材料になれば幸いです。
結論:主力を1つ決めて、残りは補助
弊社の位置づけは以下のとおりです。
| 店舗 | 位置づけ |
|---|---|
| Amazon | 主力。売上の中心 |
| 楽天市場 | 販路の追加。Amazonでは取れない層向け |
| メルカリShops | 補助。出品数も限定的 |
| 自社EC | ほぼ動いていない |
正直に書くと、この配分に至ったのは戦略というより結果です。順番に増やしていった結果、それぞれの得意・不得意がはっきりし、力の入れどころが定まりました。
Amazon:主力である理由
弊社がAmazonを主力に据えているのは、単に最初に始めたからではありません。運用コストの低さが決定的です。
商品登録が速い
Amazonは商品カタログが統一されているため、既存カタログに相乗りするだけで出品が完了します。JANコードを入れて価格と在庫を設定すれば終わりです。
画像も商品説明も作る必要がありません。この差は、扱う商品数が増えるほど効いてきます。
操作が分かりやすい
弊社がAmazonでの販売を始めたのは20年以上前ですが、当時から管理画面は使いやすいものでした。現在も出品作業は簡単です。
これは軽視できない要素です。日常的に触るシステムが使いにくいと、それだけで作業時間が伸び続けます。
楽天市場:販路の追加という位置づけ
楽天はAmazonとは客層が違います。ポイント経済圏で買い物をする層に届くため、Amazonだけでは取れない売上があります。
ただし、運用コストはAmazonより明確に高くなります。
1商品あたりの作業量が違う
楽天には相乗りの概念がありません。同じ商品を売る店が他に何十軒あっても、自分の店のページは自分で作ります。画像を用意し、タイトルを考え、説明文を書く。
この差があるため、Amazonと同じ数の商品を並べようとすると破綻します。楽天では商品を絞るという判断が現実的です。
プランは最小構成のまま
弊社は開店当初から現在まで、がんばれ!プランを継続しています。
理由は単純で、主力がAmazonだからです。楽天の売上規模に対して、上位プランの固定費を払うメリットが現時点ではありません。
販路を増やすときに陥りがちなのが、新しい店舗に過剰投資することです。売上が立つ前から上位プランを契約すると、固定費だけが先行します。実績を見てから判断するほうが安全です。
メルカリShops:補助的な位置づけ
メルカリShopsは出品数を絞って運用しています。売上規模も限定的です。
それでも維持しているのは、運用コストが低いためです。GoQSystemを使っている関係で、メルカリShopsの商品は楽天市場の商品情報から生成されます。楽天に登録済みの商品を流用できるため、新規で作り込む手間がかかりません。
手作業が残る部分
ただし完全に自動というわけではありません。
3モールでSKUを統一する必要があるため、楽天側の商品管理番号がJANコードのままになっている商品については、メルカリShopsの管理画面で「商品管理コード」を手動で修正しています。
この手間を許容できる範囲だから続けている、というのが実態です。維持コストが低いから残している販路と言えます。
自社EC:現状はほぼ動いていない
自社EC(EC-CUBE)も持っていますが、正直なところ売上はほとんどありません。
モールと違い、自社ECは集客をすべて自前でやる必要があります。SEO、広告、SNS。モールが持っている「そこに来れば商品がある」という状態を、ゼロから作らなければなりません。
手数料が不要という利点はありますが、集客コストがそれを上回るなら意味がありません。弊社の現状はその段階です。
自社ECを持つこと自体は否定しませんが、モールで売上が立つ前に注力する対象ではないと考えています。
共通基盤:SKUと在庫は統一する
4店舗の力配分は違いますが、基盤だけは統一しています。
SKUはAmazon基準
AmazonのSKUを軸に、楽天・メルカリShopsのSKUを統一しています。基準を主力店舗に合わせることで、移行や紐付けの手間が最小になります。
在庫の司令塔はGoQ
在庫はGoQSystemが持ち、各モールへ配信する構造です。どの店舗の力配分が変わっても、この構造は変えません。
力の入れ方は変わっても、基盤は変えない。これが多店舗運営を続けるうえでの前提だと考えています。基盤が店舗ごとにバラバラだと、注力先を変えるたびに作り直しが発生します。
これから販路を増やす人へ
4店舗を運営してきた立場から、押さえておくべき点を整理します。
- 主力を1つ決める。すべてを同じ熱量で回すことはできません
- 新しい販路に過剰投資しない。プランは最小構成から始め、実績を見て判断します
- 店舗ごとに商品数を変えてよい。登録コストが違うので、同じ数を並べる必要はありません
- 維持コストが低い販路は残す価値がある。売上が小さくても、手間がかからないなら続ける判断はありえます
- SKUと在庫の基盤は統一する。ここがバラバラだと、後から必ず苦しくなります
販路を増やすこと自体が目的になると、どれも中途半端になります。主力を伸ばしつつ、低コストで維持できる販路を足していく。この順番が現実的だと考えています。
在庫の一元管理については在庫の一元管理はこう回す|GoQで3モールを運用する実務と失敗談、楽天出店の実際については楽天出店は申込から2ヶ月かかった|実際に時間を取られた箇所と準備すべきことで詳しく書いています。

