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「モールは手数料が高いから、自社ECを持つべきだ」
EC関連の情報を調べていると、必ず目にする主張です。BASE、STORES、Shopifyといったカートサービスも普及し、自社ECの構築ハードルは確かに下がりました。
弊社も自社EC(EC-CUBE)を運営しています。ただし正直に書くと、年に数点しか売れていません。
Amazon・楽天市場・メルカリShops・自社ECの4店舗を運営している立場から、自社ECを持つべきかどうかについて、実感を書きます。
結論:小規模ならモールに集中すべき
先に結論から書きます。個人〜小規模の事業者は、モールに集中したほうがよいというのが弊社の実感です。
弊社は法人ですが、実質的には少人数で運営しています。この規模で自社ECを成功させるのは、率直に言って難しいと感じています。
なぜ導入したか:外注先の提案
弊社が自社ECを導入した経緯は、戦略的な判断とは言い難いものでした。
当時、社内システムの構築を外注していた業者から「EC-CUBEなら既存システムと連携できる」という提案を受けました。技術的な詳細は外注先に任せており、こちらで細かく把握していたわけではありません。
提案があり、連携できるというので契約した。実態としてはそれに近い流れです。
この経緯自体が典型的かもしれない
後から振り返ると、これはよくあるパターンだと思っています。
「システム的に可能だから作る」という判断は、「作った後どう売るか」の検討が抜けやすいという問題があります。構築の話と集客の話は別物なのですが、提案を受けている時点では意識が向きにくい。
自社ECを検討している方は、構築の相談をする前に「誰にどうやって知ってもらうか」を先に考えてください。ここが空白のまま作ると、弊社と同じ状態になります。
結果:年に数点
現在も稼働はしています。たまに注文が入るため、閉じずに置いてある状態です。
ただ、売上規模としては年に数点。事業の柱にはなっていません。
導入して良かった点
正直に書くと、特にありません。
手数料がかからないという構造的な利点はありますが、そもそも売上が小さいため、手数料削減の恩恵も小さい。トータルで見て「導入して得をした」とは言い難い状況です。
なぜ売れないのか:集客がすべて自前になる
理由は明確です。集客を自分でやらなければならないからです。
モールと自社ECの決定的な違いはここにあります。
| モール | 自社EC | |
|---|---|---|
| 集客 | モールが集めた客が来る | すべて自前 |
| 手数料 | かかる | かからない(決済手数料は別) |
| 認知 | 「Amazonで買う」で完結 | 店舗名を知ってもらう必要がある |
Amazonや楽天には、日常的に買い物をする膨大なユーザーがいます。「何かを買おう」と思ったとき、まずモールを開く人が大多数です。
自社ECには、その流れがありません。SEO、広告、SNS。すべてゼロから作る必要があります。
モールに払っているのは「場所代」ではない
手数料の話をすると、「場所を借りているだけなのに高い」という捉え方をされることがあります。
弊社の理解は違います。モールが提供しているのは、「そこに行けば商品がある」と消費者が認識している状態そのものです。この認知を自力で作るコストを考えれば、手数料は妥当だと考えています。
実際、自社ECで同じだけの集客をしようとすれば、広告費とSEOへの投資が必要になります。集客コストが手数料を上回るなら、自社ECを持つ意味は薄くなります。
それでも自社ECが有効なケース
自社ECを全否定するつもりはありません。有効に機能するケースはあります。
既に顧客リストがある
実店舗の常連客、SNSのフォロワー、メールマガジンの読者。すでに自分を知っている人がいるなら、自社ECは機能します。集客の問題が既に解決しているためです。
ブランドが確立している
「この店で買いたい」と指名される状態があるなら、モールを経由する必要はありません。ブランド名で検索してもらえるなら、集客コストは大きく下がります。
モールで扱えない商材
規約上モールで販売できない商品、あるいはモールの型に収まらない売り方をしたい場合。この場合は自社ECが唯一の選択肢になります。
モールで十分な売上がある
すでにモールで売上が立っていて、その一部を自社ECに移したい。この段階なら、手数料削減が実際に効いてきます。
重要なのは順番です。売上が立ってから自社EC、であって、その逆ではありません。
これから始める人へ
もし今、ネットショップを始めようとしていて、自社ECかモールかで迷っているなら、モールから始めることを強く勧めます。
理由は単純で、モールなら商品を並べれば人が見てくれるからです。売れるかどうかは商品と価格次第ですが、少なくとも「誰にも見られない」という状態にはなりません。
自社ECは、商品を並べても誰も来ません。集客の手を打って初めてスタートラインに立ちます。この差は、始めたばかりの事業者には重すぎます。
カートサービスを検討するタイミング
BASE、STORES、Shopifyといったカートサービスは、以前と比べて格段に手軽になりました。初期費用無料で始められるものもあります。
導入のハードルが下がったのは事実ですが、集客の難しさは変わっていません。作りやすくなっただけで、売れやすくなったわけではない。
検討するタイミングとしては、モールで売上が立ち、顧客との接点ができてからが現実的です。それ以前の段階では、モールに注力したほうが投じた時間が回収できます。
検討する段階に来た方へ
ここまで読んで「それでも自社ECを検討したい」という方は、既にモールで実績があるか、顧客リストを持っているか、いずれかに該当するはずです。その段階であれば、カートサービスは有力な選択肢になります。
弊社はカートサービスを使っていないため使用感は語れませんが、選び方の軸は「固定費をどこまで許容するか」です。初期費用・月額費用が無料のものから始め、売上に応じて本格的なサービスへ移行する流れが、投資を抑えられます。
- まず無料で試すなら BASE(初期費用・月額費用0円)

- 機能重視で構築するなら makeshop(無料体験から始められます)

まとめ
自社ECについての実感を整理します。
- 小規模ならモールに集中する。集客を自前でやる負担は想像以上です
- 「作れるから作る」で判断しない。構築の話と集客の話は別物です
- 手数料は集客の対価。自前で同じ集客をするコストと比較してください
- 顧客リストがあるなら有効。集客が解決していれば自社ECは機能します
- 順番はモールが先。売上が立ってから移行を検討します
弊社は導入の順番を間違えた例です。同じ失敗を避けていただければと思います。
どのモールから始めるべきかについてはネットショップはどこから始めるべきか|4店舗運営者が勧める出店の順番、モールの手数料の捉え方についてはモールの手数料は結局どう見るべきか|料率の比較に意味がない3つの理由で書いています。

