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「ネットショップを始めたいけれど、失敗しないか不安」。開業前にこう感じるのは自然なことです。実際、ネットショップは開業のハードルが低い分、撤退していく店舗も多い世界です。
筆者はAmazon・楽天・メルカリShops・自社ECの4店舗を10年以上運営してきました。この記事では、その経験から見えてきた「いま開業する人が失敗しやすいポイント」と、その避け方を解説します。
前提:「出せば売れる」時代は終わっている
まず知っておいてほしいのは、開業をとりまく環境が10年前とはまったく違うということです。
筆者が最初にAmazonへ出品したのは10年以上前ですが、当時は競合が少なく、商品を出せば1週間以内に最初の注文が入りました。極端に言えば「出せば売れる」時代でした。
現在は商品数が桁違いに増え、ただ出品しただけでは埋もれます。売れるまでの露出を広告で作ることが、ほぼ前提になっています。ネットで見かける「簡単に稼げた」系の体験談は、この環境変化を反映していない古い情報であることが多いので、鵜呑みにしないでください。
この前提の変化を知らないまま開業すると、「出したのに全然売れない」という最初の壁で心が折れます。売れないのは商品のせいとは限らず、単に露出がないだけ、というのが今の標準です。
失敗パターン①:広告費のかけすぎ・かけなさすぎ
現在の開業でいちばん差がつくのが広告費のコントロールです。失敗は両方向にあります。
かけなさすぎの失敗
広告を一切使わず「自然に売れるのを待つ」パターンです。前述のとおり、いまは露出がなければ見つけてもらえません。商品が売れて評価が付き、検索で上位に出るようになるまでの「露出期間」の広告費は、必要経費と割り切るのが現実的です。
かけすぎの失敗
逆に、売れない焦りから広告費を積み増し、気づけば利益が全部広告に消えているパターンです。こちらの方が傷が深くなります。
対策はシンプルで、広告費を売上に対する比率で管理することです。金額の絶対値ではなく「売上の何%を広告に使っているか」を毎月確認し、自分なりの上限比率を決めておく。比率で見る習慣があるだけで、ズルズルと広告費が膨らむ事態は防げます。
失敗パターン②:相乗り出品と独自カタログの違いを知らない
Amazonで出品する場合、既存の商品ページに出品する「相乗り出品」と、自分で商品ページを作る「独自カタログ」があります。この2つは必要な広告費がまったく違います。
- 相乗り出品:すでに売れているページに出品するため、露出の土台がある。広告費は比較的抑えられる
- 独自カタログ:ページをゼロから育てるため、認知される露出を作る広告費がある程度必要になる
「独自商品で勝負したい」という気持ちは大切ですが、独自カタログは広告費込みで事業計画を立てないと、想定外の出費に苦しむことになります。最初は相乗りで販売の感覚をつかみ、資金と経験がついてから独自カタログに挑む、という順番も現実的な選択肢です。
失敗パターン③:手数料と経費の見積もりが甘い
「売価から仕入値を引いた分が利益」と考えていると、開業後に現実とのギャップに驚きます。実際には販売手数料・決済手数料・送料・梱包資材費・そして広告費が引かれ、手元に残る利益は想像よりずっと薄くなります。
各モールの手数料の実態は、モール販売手数料のリアルで詳しく解説しています。開業前に必ず「1個売れたら手元にいくら残るか」を計算してください。
失敗パターン④:在庫と発注の判断を感覚でやる
仕入れ商品を扱う場合、在庫の失敗も定番です。売れ筋の欠品で機会を逃す、逆に勢いで仕入れすぎて在庫と資金が寝る。筆者自身、目視と感覚で発注していた時期には発注しすぎや商品間違いを経験しました。
対策は「感覚で発注しない。売れた数を見てから決める」に尽きます。詳しくは発注のタイミングと数量の決め方にまとめています。
失敗を小さくする開業のしかた
ここまでの失敗パターンに共通する対策は、「小さく始めて、数字を見ながら大きくする」ことです。最初から在庫を積み、広告を焚き、固定費の高い環境を整えるほど、失敗したときの傷が深くなります。
販売の場所選びも同じ考え方です。初期費用を抑えて試したいなら、無料で始められるBASE
のようなサービスで小さくテストする。事業として本格的に取り組む段階になったら、機能の充実したmakeshop
のような有料カートや、集客力のあるモール出店を検討する。段階を踏めば、各段階での失敗は小さく済みます。
モールと自社ECの選び方はネットショップはどこで始めるべきかで比較しています。
よくある質問:ネットショップの廃業率は高い?
「ネットショップは1年でほとんどが消える」といった話を目にしますが、正確な統計を取ること自体が難しく、出回っている数字の多くは根拠がはっきりしません。
ただ、10年以上この業界にいる実感として、撤退していく店舗の多くは「環境の変化に合わせて運営を変えられなかった店舗」です。逆に言えば、広告・手数料・在庫を数字で管理し、小さく試して修正を繰り返せる店舗は生き残っています。廃業率の数字に怯えるより、この記事で挙げた失敗パターンを一つずつ潰していく方が建設的です。
まとめ:失敗の質が変わったことを知って始める
いまのネットショップ開業で押さえるべきポイントを整理します。
- 「出せば売れる」は過去の話。売れるまでの露出期間は広告費を必要経費と考える
- ただし広告費は売上比率で管理し、上限を決めてかけすぎを防ぐ
- 相乗り出品と独自カタログでは必要な広告費が違うことを知っておく
- 手数料・経費込みで「1個売れたら手元にいくら残るか」を開業前に計算する
- 小さく始めて、数字を見ながら段階的に大きくする
失敗をゼロにはできませんが、小さくすることはできます。この記事が、これから始めるあなたの最初の壁を低くする助けになれば幸いです。

